就職活動中に、「人間関係が少なく、休みが多い上に高収入も可能」なんてタクシー会社の広告を見て「これだ!!」なんて思っていませんよね?
まず最初に申し上げておきますが、私は今回の記事を書いたからといって、読んでくれた方の気持ちが変わるとは毛頭思っておりません。
私自身、周りの反対を押し切ってタクシー運転手になった一人ですから・・・
ただ、それでも実際のタクシー運転手の生の声を聞いてほしいのです。
新卒という一度きりのスペシャルカードをいつでもなれるタクシー運転手に捧げて良いのか。
20代という失敗しても許される・成長できる時期をタクシーに捧げても良いのか。
後悔してからでは遅いのです。
すいません、少し熱が入り過ぎましたが、本題の新卒でタクシーはやめとけ!と思う10の理由を書いていきたいと思います。
自分の市場価値を見てみるもくじ
同世代よりも収入が高い!は最初だけ
タクシー運転手は歩合制のため高収入を目指せます(都市部のみ)。
ただ!本当に高収入なのは一部のカリスマ長時間労働ドライバーor夜勤ドライバーだけです。(健康を犠牲にする覚悟が必要)
どうやら日本では年収600万を超えると高収入の部類に入るようなのですが、この場合毎月50万円稼がないといけません。
タクシーは売上の約6割がドライバーの取り分ですから、約80万円の売上が必要です。
タクシー業界で多いとされる隔日勤務(1日おきの乗務)は毎月12日乗務が基本なので、80÷12=1日約6.6万円の売上が必要となります。
これは繁忙期であれば可能な数字ではありますが、それでも身体がしんどい上に、閑散期も含めるとキツすぎます。
というか、健康的に働こうと思ったら無理な数字です。
ということで現実的な数字ですが、20代の時の私のMAX年収が480万円(毎月40万平均)でした。
その年は売上のことを相当考えて働いたので長時間労働になりましたし、明けの日は体がだるくてかなりキツかったです。
ですので、その次の年は体のことを考えて年収450万程度に落としました。
ちなみに私は体力やや少なめの健康成人男性なので、体力に自信のある人なら年収500万は超えるとは思います。
仮に年収500万円稼げたとしたら、20代のうちは同世代よりも高収入の部類に入るでしょう(一部の大企業勤務者やその他の高所得者にはすぐに追い抜かれますが)。
ただ、30代~40代と年を重ねていくと同世代の中小企業勤務者にもどんどん収入を追い越されていきます。
一般的な会社では昇給や昇格をしていきますからね。
自分の市場価値を見てみるそして、50代にもなってくると長時間座り仕事をしていたツケが回ってきて腰を痛めたり病気を患ったりして、出勤日数や勤務時間が減り収入も芋づる式に落ちるという未来が待ち受けています。
実際にそんな人も多いんです。
私も今から恐れまくっているので、30代にして売上よりも健康を考えて働いています。
休みが多い!と感じるだけ
タクシーの勤務形態は「隔日勤務」と呼ばれる1日おきの勤務が主流です。
隔日勤務は最大21時間拘束で働き(休憩3時間)、次の日は明け休みのため、それに加えて公休を合わせると月の勤務日数は12~13日です。
つまり、月の休みが17~18日あるわけですね。
ただし!!
明けの日は労働基準法で勤務日と定められているため、本当の休みは12日勤務(実質24日勤務扱い)の月で6~7日です。
そう考えると一般的な会社よりも少なめですよね。
それを堂々と、月の休みが18日!!なんてデカデカと広告を打つタクシー会社には驚きを隠せませんが、それくらいの誇大広告を打たないと人が入ってこないんです。
確かに、月の売上が低くていいなら早く帰って翌日もたっぷり1日使えますが、それだと次は生活面が厳しくなってきます。(独身ならいいと思いますよ)
つまり、明け休みの充実=収入低下という図式が成り立ちます。
普段頑張ってたまに早く帰るなど、工夫すればそこそこ稼ぎつつ明け休みを充実させる日を作ることはできますが、お金も稼げて休みもたっぷり18日ある!最高やないかい!!とは思わない方がいいですね。
明けの日に体がだるい
明けの日は自由なんでしょ?
と思われるかもしれませんが、朝まで働いて疲労感たっぷりの日は昼過ぎまで寝ることもザラにありますし、起床した後は体がだるいです。
寝ても疲れが取れず、夜になるまで謎の体のだるさがあります。
体のリズムが崩れるというのはこういう状態なんだな、というのが身をもってわかります。
これは個人差があるのかもしれませんが、少なくとも私は明けの日にUSJに行く気力はありません。
車の運転って人間が思っている以上に神経を使っているものですし、ましてお客様を乗せて走るタクシーは神経の使い方も一人で運転する時の倍以上です。
タクシー運転手になると、寿命を縮めながら働いているな、という状態を体感することができますよ。
交通費?洗車代?そんなもん出ません
タクシー会社は交通費を出してくれないことを知っていますか?
1日使った営業車を自分で洗車しないといけないことを知っていますか?
まず、タクシー会社は会社までの交通費を一切出してくれません。
一般の会社ならせめて5000円まで支給とかあると思いますが、一銭も出ません。
これは私の会社に限ったことではなく、業界自体がそういう風潮のようです。
歩合制の職種にあることのようですが、交通費は自分で稼げってことみたいです。
ついでに言うと、タクシー会社の中には形だけの基本給が設定してあり、実態は完全歩合制という会社が多いです。※完全歩合制は違法です。
違法なので、給与明細に適当な項目を付けてごまかしてあります。
このため、コロナ過などで街から人が消えてタクシーの売上が通常の半分以下になった際でも最低保証額などはなく、多くのタクシードライバーが収入減で辞めていったという現実があります。
今の時代そういう会社は多いのかもしれませんが、タクシー会社も例に漏れず社員を守ろうとしない会社が多いので認識しておいてください。
次に、その日使った営業車両(タクシー)は自分で洗車するか洗車屋に出すかしないといけないのですが、洗車屋に出すと7~800円かかります。
会社が負担してくれるんですよね?と、さとり世代のあなた方は思うかもしれませんが、そんなりくろーおじさんのチーズケーキのような甘い世界ではありません。
自腹です。
なので、毎回出したとしたら月に1万円くらいかかってしまいますね。
ですので、せめて時々は洗車した方がいいのですが、時間いっぱい働いた後の洗車は思った以上にしんどいですよ。
ほぼ丸1日働いてるわけですから眠いですし。
あ、ちなみに洗車には30分程度はかかるのですが、もちろんお金は出ませんよ。
会社の備品を清掃するのにただ働きなんて、いつの時代でしょうか。
会社の言い分としては、自分で洗車することで車に対する愛着が湧いて大切にするようになるから事故が減る!とのことですが、都合よく解釈しているようにしか聞こえません。
洗車してる人も普通に事故してますしね・・・。
身に付くスキルが少ない
新卒の方に声を大にして言いたいのがこれです。
身に付くスキルが少ない!
特にコミュニケーション力が著しく身に付かないです。
ここで言うコミュニケーション力とは、対人間での情報共有や意思の疎通をスムーズに行う力です。
他者と関わり合いながら働く会社に勤めていると、相手への伝え方や報告・連絡・相談、嫌な上司のあしらい方などを学べると思うのですが、タクシーは一人で行う仕事なので殆ど身に付きません。
仕事中に会話する相手は、たまに出会う同僚が1%とお客様が99%という比率なのですが、お客様との会話は当たり障りのない天気の話やニュースの話など、殆どが雑談です。
たまに会社のお偉いさんや社長さんが乗車されて、身のためになる話を聞けることもありますが、仕事を進める上で必要なコミュニケーションス力は学びにくい環境です。
私自身は20代後半でタクシー運転手になったのですが、もしも新卒でタクシー運転手になっていたら今以上にコミュニケーション力がないポンコツに仕上がっていたと自信をもって言えます。
お客様と会話をする中で、少しでも別の会社で社会経験があって良かったなと思うことは何度もありました。
人は人との関わり合いでしかコミュニケーション力を養えませんが、社内の人間関係が希薄なタクシー運転手は、誰から学んだらいいの?(;’∀’)状態です。
事故・違反のリスクは思った以上
タクシー運転手は長時間運転するため、事故や違反のリスクも高いです。
まず違反を起こしてしまうと、免許の点数を引かれてしまいますし、数が重なると免許停止処分を受けて一定期間車の運転ができなくなってしまいます。
こうなると歩合制のタクシー運転手は収入が途絶えてしまうため、生活が苦しくなってしまいます。
※6点~8点加算で初めての免許停止処分となった場合、1日講習を受けることですぐに乗務できるようになるため、収入に殆ど影響は出ません。
ただ、その後に再度違反をしてしまうと、4点加算で60日の免停処分となってしまい、こちらは講習を受けたとしても1か月以上乗務ができないため、収入に影響が出ます。
前歴のある状態で2回目の免許停止処分を受ける人は少ないですが、可能性は0ではないです。
次に事故の場合ですが、大きな加害事故を起こしてしまうと相手の命を奪ってしまう可能性があり、自分も無事では済まない可能性もあるため、常に危険と隣り合わせの仕事です。
タクシーでよくあるのが、長時間の運転で疲労が溜まり、睡魔に襲われてそのまま眠ってしまい前の車に突っ込むといった事故です。
実際に私の会社でも、居眠り運転が原因の事故で退職を余儀なくされた人がいます。(かなりの危険運転とみなされるため)
このように、違反が重なることで免許停止の可能性があり、大きな加害事故を起こせば人の命を奪ってしまう可能性のある職業です。
幸い私は今のところ重大事故は起こしていませんが、いつ自分が加害者になるか分からない不安は抱えています。
1対1でヤカラの相手
これまで5年以上タクシー運転手を経験しましたが、お客様の民度の割合を個人的に算出すると、20%優良 79%普通 1%ヤカラや変質者です。
大体数か月に1回、こいつやばい奴やん・・・・と思うようなお客が乗車します。
詳しいエピソードはこちらに書いています↓
気の弱い人や、いざという時にハッキリ言えない人は餌食にされるため注意が必要です。
私がこれまでに身の危険を感じたのは2回、警察を呼んだのは3回です。
「おいコラァ!信号止まんなよ!」
「運転下手くそか!はよ行けや!」(普通に運転してます)
「・・・虚ろな目」
タクシー会社は、「最近は危ない人が乗ってくることは殆どないですよ。あっても防犯対策バッチリなので大丈夫です!」
と言いますが、防犯ブザーがあったとしても対応するのは自分ひとりなんです。
接客業でクレーム対応の経験などあれば何とかなりますが、ただ車が好きというだけの理由ではモンスター客に精神をやられると思います。
世間体が悪い
タクシー運転手は世間体がかなり悪いです。
私自身、そのことは今でも気にすることがありますし、将来結婚したい人は認識しておくべきでしょう。
というのも、「今時職業で判断するなんて・・・」と思われるかもしれませんが、実際に親世代の人から見たらそういう職業なんです。
「タクシー運転手をしてます」と言うと、親世代ではなくてもそういう反応をされることがあるくらいですからね。
まずポジティブな反応は返ってきませんね。あ~悲しい。
世間体が悪い理由としては、昔のタクシー運転手のイメージをそのまま引きずっていたり、一部のマナーの悪い運転手の言動が悪い印象を植え付けている面があります。
昔のタクシー運転手の中には、犯罪を犯して刑務所に入り、その後釈放されて何もできる仕事がないことから仕方なくやっていた人もいたからです。
とはいえ、昔よりは門出が狭くなったものの今でも常に募集していて「誰でもなれる職業」というイメージは変わっていません。
そういったイメージがそのまま日本国民に根強く残っていると言えます。
タクシー運転手が悪い仕事とは全く思いませんが、わざわざ世間体の悪い職業に新卒のスペシャルカードを使わなくても良いとは思います。
自尊心の低下
世間体が悪いということは、自分の職業に対していい顔をされない=自尊心の低下に繋がります。
自尊心とは、自分自身を尊重し、肯定できる気持ちのことです。
自分の存在価値を認めて、価値のあるものだと感じ、自分を好きになるということです。
人間は無意識のうちに他人の言動に影響されて生きているものです。
見下されたり、暴言を吐かれたり、悪い言動ばかり浴びていると卑屈になっていきます。
タクシー運転手になるとお客や友人・知人にバカにされたり、否定される経験が増えるため、自尊心が低下しやすいんです。
もちろん、そういった言動を浴びせてくる側の方が悪いのですが、現実はそう簡単に割り切れるものではありません。
私自身、そのことで苦しんだ経験があるので、新卒の皆さんにはそういう思いをしてほしくないと強く思っています。
いつでもなれるから今じゃなくて良くない?
ここまでタクシー運転手がキツいみたいなことも書いてきましたが、ある意味、タクシー運転手ってめっちゃ楽なんです。
人間関係のストレスが一番大きいと言われている世の中において、社内の人間関係が薄いわけですからね。
ただ、上記したように「人間関係が薄くて楽」ということは成長もないということです。
私もタクシーに転職して最初は、人間関係がなくて最高!と思ってましたよ。
でも、1年、2年と続けていくうちに人間関係が薄いと人生も薄くなるって感じたんです。
幸い私は仕事以外でやりたいことがあるので納得して働いていますが、目先だけの収入や誇大広告に惹かれて新卒でタクシー運転手というのはおすすめできません。
というか、いつでもなれるから今じゃなくて良くない?
っていうのが本音です。
人間関係は面倒くさいですが、思い返してみると友人関係・仕事関係・恋愛関係、どれも人間関係の中で得た喜びが殆どなんですよね。
一度タクシー以外の道に進んでみて、本気で仕事をして失敗しまくって怒られてけちょんけちょんにされながら成長されてみてはいかがでしょうか。
そして、どうにもならなくなった時にタクシーという選択でも良いと思いますよ。
いざとなればタクシー運転手になったらいいや!と思えば色々頑張れるんじゃないでしょうか。
こんな人はタクシー運転手を選んでも良いと思います
新卒でタクシーはやめとけ!という内容で書いてきましたが、新卒でもこんな人はタクシー運転手を選んでも良いと思います。
- 他にやりたいことがある
- 成長欲求が全くない
まず、何か他にやりたいことがあって働きながら取り組みたいという人はタクシー運転手を選んでも良いと思います。
自分で勤務時間を調整すれば時間はたくさん作れる仕事ですからね。
次に成長欲求がない人ですね。
そんな人もいますよね。
全然いいと思います。
何にもやりたいことねーしタクシー運転手気楽そうだしいいじゃん!
OKです。
ただ、事故違反には気を付けてくださいね!
それと、タクシーは会社によって歩合率や事故の際の弁償金などが異なるため、どの会社に入るかで収入にも大きく影響してきます。
タクシーは会社選びが一番と言っても良いくらい大切なので、色々な会社を検討する必要がありますよ。
その点で言うとドライバーズワークは無料で電話相談ができ、希望を伝えれば自分に合ったタクシー会社を提案してくれるので登録しておいて損はないかと思います。
非公開求人多数のタクシードライバーに特化した転職サービス【ドライバーズワーク】で無料相談してみるこんな感じですかね。
それでは、皆様の健闘を祈っています。