いきなりですが、3年半勤めたタクシー運転手を辞めました!
理由は、以前の記事にも書いたのですが、「稼げなくなったこと」が主な理由です。
ですが、その他にもいくつか理由がありますので、短いタクシー人生を振り返りながら
「タクシーをやって良かったこと」「悪かったこと」などを書いていきたいと思います!
なぜタクシー運転手をやろうと思ったのか
色々語っていく前に、そもそもなぜ20代の私がタクシー運転手を志したのか?という説明をサラッとしておきたいと思います!
- 人間関係のない仕事を探していた
- 休みの取りやすい仕事を探していた
- 自分さえ頑張れば収入が増えることが魅力的だった
私の前職は飲食業だったのですが、休みが取りにくく人間関係が複雑で、自分1人が頑張っても報われないような環境でした。
いくら頑張ったところで給料が増えるわけでもなく、むしろ頑張る人ほど仕事量だけが増え負担が増す。
最初はそんな目まぐるしい日常にやりがいを感じて頑張るのですが、そのうち、
「あ~もっと休みて~」「愚痴ばっか言ってる奴と働きたくね~」「頑張ったところで意味ないな」「人間関係だるい」
と、心の奥底に隠していた本心が溢れ出てくるようになってきました。
そして、私の場合は仮に頑張って評価されたとして、昇格するのも嫌だったんですよね・・・。
昇格する→管理職になる→今よりも休みが取れなくなる&人を管理(コミュニケーション量を増やす等)する煩わしさが増える
ん~、あれは嫌、これは嫌って・・・我ながらわがままですね。笑
色々とそれらしい理由を並べましたが、一言でいうと仕事が嫌になったんですね。
逃げの転職と言って良いと思います。
そして、仕事が嫌で嫌で仕方なくなった原因は、私の「ため込む性格」にあると今はハッキリ認識しています。
おそらく、私が愚痴でも何でも吐き出せるタイプであれば、ストレス発散しながら頑張れたのかもしれませんが、
「ため込むタイプ」であり、「外面のいい奴」で人に嫌われたくないという心理が強いが故に、職場では完璧で人間力のある人間を演じようとしていました。
もちろん、この世に完璧な人間などいませんし、普段の私はなまけものですから、当然のごとくいっぱいいっぱいになってしまったんですよね。
キャパオーバーってやつです。笑
正直、生きてても楽しくないな~って感じでしたね。
とはいえ、このまま死ぬのは嫌だし、
「何か希望はないのか・・・このワガママ青二才の望みを全て叶えてくれるような仕事はないか?」
と考えて考えて探し出した仕事がタクシー運転手だったわけです!
- 1人で働くので人間関係は無し
- 1人で働くので休んでも誰にも迷惑をかけない(休みやすい)
- 自分さえ頑張れば収入が増える
まさに当時の自分が探していた条件にピッタリの仕事だったんですね!
これだ!と思ったのを記憶しています。
希望の光が見えた感じでしたね。
転職後の生活
タクシーへの転職は成功でした。
最初は道が全く分からなくて、お客様に怒鳴られたり、慣れない運転で事故を起こしそうになったりと大変な思いをしましたが、
生きることすら放棄しようとしていた私にとっては大した問題ではありませんでした。
今思えば、道を全く知らない状態で平然と大阪市内を走っていた当時の自分が末恐ろしいですが。笑
転職後は、転職前の想定通りに収入が増え、休みも増えたことで私生活は以前と比べものにならないくらい充実するようになりました。
頑張ればその分が収入に反映され、そのお金で休みの日は大好きな釣りもできて、休みを調整して行きたい日に釣りに行ける
収入と休みが増え、人間関係の煩わしさを感じることもなくなったので、
人生楽しい~!って感じでしたね。
仕事を変えるだけでこんなに変わるものかと。
なので、仕事が嫌で嫌で辞めての、逃げの転職でしたが、結果的には転職成功となったわけですね!
タクシーやってよかったこと
約3年半の間、タクシー運転手をやってみてよかったことですが
- 自分の時間が増え、私生活が充実するようになった
- 人生経験豊富な人達と会話ができた
- 自分がどう生きていきたいのか、が明確になった
このような感じです。
1つ目ですが、自分の時間が増え、私生活が充実するようになりました。
繰り返しになりますが、休みが増えてプライベートの時間が増えたので、自分の好きな釣りや、その他の趣味にたくさん時間を使えるようになりました。
私は仕事よりも趣味など自分の時間を大切にしたいと思うタイプなので、私生活が充実することが幸せを感じる大きな要因になっています。
タクシーの休み事情についてはこちらに詳しく書いています↓
2つ目は、人生経験豊富な人達と会話ができたことです。
タクシーには、年齢層も職業も多種多様な人達が乗車してきます。
その中には人生経験が豊富な年齢層の高い方や、会社経営者の方もいらっしゃるので、そういった方々とお話することで、
「世の中の仕組み」のようなものに気づけたと思います。
どういうことかというと、「会社勤めのサラリーマンの考え方」「会社経営者の考え方」などを会話を通して知るうちに、
それぞれの人間性には大体ですが、特徴があることが分かりました。
例えば、会社経営者はバイタリティ(活気・エネルギー)に溢れていて、オーラのある人が多い印象でした。
とても自分とは違う人間だ・・・と思わされます。
サラリーマンは安定志向が強く、また自分の価値を知っており、地に足がついている。いわゆる普通の人が多い。(会社経営者のようなバイタリティ溢れる人もいますが)
そこで思ったのは、自分はこっち側の人間だなぁと。
たまに、「サラリーマンが嫌なら独立して社長になれば良い」という話を聞きますが、誰でもかれでも社長になれるわけではないなと思います。
やはり、社長になって成功するにはそれだけの器が必要なのだと感じました。
そして、その器は努力して手に入るものではなく、生まれ持った天性のものである場合が多い。
ワンピースのルフィに例えたら分かりやすいかもしれません。
ルフィは努力してあの性格になったわけではなく、天性のものですよね。
鈍感力があって、欠点も多いけど決して仲間のことは見捨てない。
いざという時には頼りになる存在。
その器が無いのに社長になってもうまく経営ができず、いずれは潰れてしまう結末を迎えるのではないかと。
何か人を惹き付ける魅力を持っているのが社長クラスの人だと思いました。
世の中は、その数少ない「器」を持った人の元に人が集まり、組織が形成されていくのだろうなという考えに至りました。
なので、絶対数としてサラリーマンの方が多いということになりますが、組織を支えているのは大多数のサラリーマンでもありますよね。
結局、どちらか一方だけでは成り立ちませんし、持ちつ持たれつがこの世の仕組みなのかな、と思った次第であります。
話が逸れてしまいましたが、人生経験豊富な人達と会話ができたことで、私自身はどの立場の人間なのか?どう生きていきたいのか?という自己理解が深まったように思います。
これは今後の人生を生きていく上で非常に大きな経験値になりました。
3つ目ですが、自分がどう生きていきたいのか明確になったことです。
先ほどの内容と重複しますが、多種多様な人達と出会い、会話したことで様々な人生のパターンに触れることができたと思います。
タクシー車内という数分~数十分程度の触れ合いではありますが、様々な業種で働いている人達の考え方を知ったことで、
自分の中で答え合わせをしていくような感覚がありました。
その生き方いいな。とか、その生き方は自分には無理だ。とか。
例えば、私は一時期飲食店を開業したいと考えていた時があったのですが、実際に飲食店を経営していた人に話を聞くと、とてもじゃないですが自分には無理だと思いました。
私生活を充実させることで幸せを感じる私が、私生活を犠牲にして週6~休み無しで仕事に取り組まなければならない状況になれば、すぐに嫌になって辞めてしまうはずです。笑
飲食店に限らず、経営者は必ず若い頃や駆け出しの頃には恐ろしいくらいに働いている事実を知り、自分にはそこまでの気合や成功したい!という欲がないことを理解しました。
私が飲食店をやりたいと思ったのも、会社の人間関係が嫌だから、とかその程度のものです。
そんな、逃げの理由で始める人間が成功するわけがありません。
ですが、心のどこかで自分にもできるんじゃないか?とか、甘い考えがあったのは事実なので、
色々なお客様と会話する中で本当の自分の気持ちと向き合い、そこに気づくことができたのは大きかったです。
私はただ、普通に働いて結婚して休みの日には釣りに行ったり家族団らんを楽しみたいだけなのだと。
タクシー運転手として様々な人と触れ合ったことで、現実の厳しさを知ったと同時に、自分が大切にしたいものが分かっていきました。
もしも、タクシーへ転職せずに前の会社で不満を持ちながら働き続けていたとしたら、本当の自分の気持ちには気付かなかったと思います。
20代という若さでタクシー運転手をやったことで、自己理解が深まり、人生の方向性が定まってきたので、私自身はやってよかったと心から思います。
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タクシー運転手になって悪かったことですが
- 成長がない
- 景気の影響を受けやすく、収入が不安定
- 稼ぎ方がグレーになる瞬間
- 世間体が悪すぎる
1つ目は成長がないことです。
これは、以前の記事にも書いたことですが、タクシーは仕事が単調なので、成長していると実感することが殆どありません。
基本的な仕事内容が、お客様をお乗せする→目的地へ安全に輸送する→到着
というのを繰り返すだけなので、1年ほど経って仕事に慣れてくると飽きてくるんですね。
歩合制のため、飽きてくることでやる気が低下し、売上も下がりがちになります。
すると、余計に成長を感じにくくなっていきます。
ちなみに、飽きてきた時にこの仕事を楽しむコツですが、お客様との会話を楽しむことだと思っています。
逆に言うと、お客様と会話をしなければ1日中黙々と車を走らせるだけなので、息が詰まります。
2つ目は、景気の影響を受けやすく、収入が不安定だということです。
タクシーは景気の影響をとても受けやすく、好景気の時は売上も簡単に上がり順風満帆といった感じなのですが、景気が悪化すると恐ろしいくらいに大打撃を受けます。
私が退職した大きな理由も、コロナの影響でお客様が減り、収入が大幅に減ってしまったことにあります。
コロナ禍では、タクシー業以外も大打撃を受けていますが、歩合制のタクシー運転手にとって、いくら頑張って車を走らせても稼げない状況というのは精神的に非常に辛いです。
乗り場に待機しても回ってくるのが2~3時間後の日は、何のために働いているのか分からなくなります。
景気の影響を受けやすい仕事という認識はありましたが、ここまでとは思わなかったので、正直かなり焦りましたね。
3つ目は、稼ぎ方がグレーになる瞬間があることです。
タクシーというのは真面目に働いている人の方が売上が上がるかというとそうでもなく、違反まがいの行為をしている人の方が売上が高かったりします。
例えば、道路交通法では交差点の5m以内は駐停車禁止とされていますが、実際にはタクシーが客待ちで停車していたりしますよね?(都会ではよく見る光景だと思います)
酷い場合には、横断歩道に車が乗っかっていることもあります。
なぜ交差点付近で客待ちしているかというと、そこが乗車ポイントになっているからです。
よく人が出てくる場所なんですね。
なので、違反行為をしてでも待機していますし、実際に検挙されることも殆どありません。
真面目な人は道路交通法をきっちり守って営業しますが、売上至上主義の人はなりふり構わず営業するので、結果的には後者の方が売上が上がるわけです。
ここに、不公平感が生まれます。
そして、そういったグレーな営業をしている人たちのせいで、世間のタクシー運転手へのイメージは悪くなり、「なんでタクシー運転手なんかやってるの?」という言葉を引き出させるのではないかと推測します。
この他にも、世間からのイメージが悪い理由には、後ろから猛スピードで客を奪いに来て急停車したり、進路変更をしまくってサンキューハザードも点けないドライバーが多かったりと、様々な要因がありますが・・・。
しかし、ここまで言っておいてなんですが、グレーな営業をしなければ売上が上がらなくなっているという現実もありますので、もはや何が正しいのか分からない状況になっています。
家族を養う必要のある人は複雑な思いを抱えながら営業しているはずですし。
とはいえ、グレーな営業をしなければまともな給料が得られない仕事に誇りを持つことは難しいですし、胸を張ってタクシー運転手やってます!
と言いにくいのは事実です。
私の退職理由の一つとして、この胸を張れない、ということも正直あります。
自分が絶対にホワイトだと言えないからです。
4つ目は世間体が悪すぎることです。
家族・友達・知人などに「仕事何やってるの?」と聞かれ、「タクシー運転手なんよ~」というと、
「へぇ~・・・」とか「えっまじで?」とか、基本的にネガティブな反応が多かったです。
小学校時代の先生に再開した時も、「あら~大変やねぇ」と何か言いたげな反応でしたし、とにかく世間体悪すぎました。(ToT)
そもそも、そういう反応する側がどうなの?という話ではあるのですが、これが世間のイメージなのだと痛感しました。
親に関しては、さりげなく仕事を紹介してきましたからね・・・。笑
でも、親からしたら不安定な仕事で危険性もありますし、世間体も考えたらやっぱり安定した仕事に就いて欲しいと思うでしょうし、
高齢の人ほどタクシーに対して良いイメージを持っていない人が多い気がします。
タクシーは自由度が高く、プライベートも充実させることができてとても良い仕事ですが、社会的地位が低いことは自尊心を低下させますし、実際に惨めな気持ちになることもありました。
これを解決するにはタクシーを辞めるしかないのではないかと思っていたところ、丁度コロナで売上の大幅ダウンというきっかけもできたため、退職の決断に至りました。
まとめ
20代でタクシードライバーという職業を経験できたのは、自分の人生において非常にプラスになったと思っています。
私は退職の決断をしましたが、若くてもタクシーにやりがいを持って楽しんで働いている方もおられます。
本当に色々とありましたが、いつでも戻れるのがタクシーの良いところでもあるので、もしも何かあった時は戻ってきたいと思います!
二種免許を取得している以上、タクシーが完全な自動運転にならない限り食いっぱぐれることがないのは本当に有難いことです。
以上、タクシー運転手退職の報告と「やって良かったこと、悪かったこと」でした!