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タクシー運転手が底辺と言われる理由は人間性の問題

「タクシー運転手 底辺」で検索して来られた方、ごきげんうるわしゅう。あなたの事をお待ちしておりました。

世の中には、職業に貴賤(身分が高い低い)なんてない!と思っている方も多いですが、実際には、「あの仕事だけはしたくない」とか、「あれは他に何もできない人がやる仕事」といった具合に職業差別をしている人も多くいます。

そして、その枠に当てはめられる仕事は所謂「底辺」と呼ばれるものであったりします。

タクシー運転手の仕事も、どちらかといえば「底辺」に当てはまる職業の1つというのが世間一般のイメージだと思います。

では、なぜタクシー運転手が「底辺」というイメージになってしまっているのか、今回は現役タクシー運転手である私が、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います。

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そもそも底辺とは

底辺とは、就いている職業に対して言われることが多いです。

タクシー運転手はよく底辺職として名が上がりますが、他にも介護士警備員工場での単純作業者飲食業などが検索すると出てきます。

これらの職業に共通することは、

  • 肉体労働できつい
  • 汚いものを扱う
  • 給料が安い

といった、所謂3K(きつい・きたない・給料が安い)であることですね。

これをタクシーに当てはめてみると、確かにタクシーは体力的にキツくて、たまに嘔吐物も扱うので汚い面もありますが、給料が安いかと言われるとそうでもありません。

例えば、給料は大阪だと夜勤で最高800万程度、東京だと1000万を超える人もいるらしいからです。

ということで、給料が低すぎて底辺というのは考えにくいです。

ではなぜタクシー運転手が底辺職という認識なのか、そこを掘り下げていきたいと思います。

ロンドンタクシーと比較してみる

色々と調べた結果、タクシー運転手が底辺職であることを知るには、ロンドンタクシーと比較するのが一番分かりやすいのではないかと考えました。

なぜなら、ロンドンタクシー(black cab)は市民から厚い信頼を得ており、社会的地位も日本のタクシーとは比べ物にならないくらい高いからです。

弁護士を目指すかタクシー乗務員を目指すか」という、日本で考えると殆どありえない選択に悩むほどのレベルだそうです。

ではなぜ、同じ職業であるはずなのにここまでの社会的地位の違いができているのか、そこに全ての答えが詰まっていると思うので、数項目に分けて考察していきたいと思います。

就職難易度の違い

まず1つ目に、就職難易度の違いが挙げられます。

ロンドンタクシー(black cab)の乗務員になるには、世界一難しい試験と言われている「ナレッジ試験」というものを受けなければなりません。

そしてこのナレッジ試験に合格するには、平均で4年もの学習期間が必用とされています。

ここで、なぜタクシー乗務員になるのに4年もかかるの?という疑問が湧いてきますが、その理由は、「ロンドンの地理に関するあらゆる知識を必要とされるから」なんですね。

以下、どれだけ難しい試験か詳しく記載されているサイトがあったので引用させていただきました。

ロンドン中心部にあるチャリング・クロスのチャールズ1世の騎馬像を中心として、半径6マイル(約10キロメートル)の中にある道路・建物・駅・公園などの公共施設に関するあらゆる知識を習得する必要があることが定められています。この範囲にある道路の数は約2万5000。当然、一方通行や行き止まりがあることを含めて完全に把握することが求められます。

Gigazineより引用

なんと、半径10キロ圏内のあらゆる施設の名称に加えて、2万5000もの道路の一方通行や行き止まりを完璧に把握しておかなければならないそうです。

さらに詳しくはこちらのリンク先を参照にしてみてください↓

https://gigazine.net/news/20141112-knowledge-of-london/

このように、ロンドンタクシーの乗務員になるには長期間の学習が必用な上に、例え学習したとしても必ず受かるような試験ではなく、合格率は僅かで門出が狭いんですね。

その代わり、難関の試験を突破してタクシー乗務員になった精鋭たちは、建物名から道路名などの地理を完璧に把握しているので、まさにプロのタクシードライバーと呼ぶにふさわしいです。

そう考えると、医者や弁護士などの、長期間の学習が必要な職業と同じように尊敬されているというのは頷けます。

日本のタクシーの試験

次に日本のタクシー乗務員になる為の試験ですが、「普通二種免許」と、「地理試験」という2つ試験を受けます。

なんや2つもあるんか。結構時間かかりそうやな・・・と思われるかもしれませんが、この2つは1か月もあれば取得することができます

普通二種免許については、普通免許の取得よりも少し難しいくらいのレベルですし、地理試験に関しては、記憶力のある人なら1日でクリアできるレベルです(大阪の場合)。

つまり、日本ではタクシー乗務員になる為の勉強はほんの僅かでよく、最低限の記憶力と健康な身体があれば誰でもなれる職業なわけですね。

逆にいうと、建物名や地理に関する知識が圧倒的に少ない状態で仕事を行う為、プロのドライバーとは程遠い存在なのが日本のタクシーの現状です。

もちろん、中には個人的に地理の勉強をして常に最短ルートを導き出せるようなプロのタクシードライバーもいらっしゃいますが、僅かだと思います。

ここまでをまとめると、ロンドンタクシーと日本のタクシーには就職難易度の違いがあり、日本ではタクシーは誰でも簡単になれる職業だから底辺、というイメージに繋がっていると考えられます。

地理に詳しいロンドンタクシー

ロンドンタクシーは、タクシー乗務員になるまでの道のりが約4年も必要で資格取得難易度が高いので、その間の勉強で街の建物名や地理などを完璧と言っていい程把握しています

その為、実際にタクシー乗務を始めた時にお客様に行き先を告げられても、瞬時に最短ルートを導き出してスマートに目的地まで送っていけるわけですね。

そのレベルですが、なんと番地まで把握しているそうなので、住所を伝えるだけで家まで送ってくれるようです。

お客様からすると、「ロンドンタクシーは道を知っているのでどこから乗っても最短ルートで送ってくれて安心」という気持ちになるでしょうし、その仕事ぶりに対して尊敬の念を抱くはずです。

道を知らない乗務員が一定数いる日本と比べて、全てのタクシー乗務員(ナレッジ試験を通過したblackcab乗務員)が道を把握しているロンドンとでは、世間のタクシーに対するイメージが異なるのはある意味当然のように思います。

地理が分からない日本のタクシー

日本でタクシーに乗った時、「〇〇までお願いします」と伝えて、「申し訳ありません。初めてなのでナビ入れさせていただいてもよろしいですか」と言われた経験はないでしょうか?

日本のタクシー乗務員は資格試験が簡単なため、地理に関する勉強をあまりしておらず、ハッキリ言うと道に詳しくありません。

ですので、お客様に目的地を告げられても、「最短ルートが分からない」という状態に陥りやすいです。

これがお客様の不満の原因の一つとなり、「プロのタクシードライバーのくせに道も知らないのか!プロ意識が低い!」という怒りの原因になるわけですね。

これが一度だけの経験であれば何も思わないかもしれませんが、何度も地理の分からないタクシーに乗車すると、「日本のタクシー乗務員はプロ意識が低い。底辺だ」というイメージを抱く人もいるのではないでしょうか。

接客態度が良いロンドンタクシー

実際に私がロンドンに行って乗って来たわけではないのですが、ネットなどで調べた限り、ロンドンタクシーは接客態度が良好でフレンドリーな乗務員の方が多いようです。

そもそも、イギリス自体が紳士淑女の国と言われるくらいですから、お国柄元々ホスピタリティ精神があるのでしょう。

色々調べていても、海外のタクシーでありがちな、「わざと遠回りをされた!」というトラブルは見当たりませんでした。

ただ、人間ですから純粋に間違えて遠回りになってしまうこともあるようですが、その場合は料金をもらわないか、ちゃんと割引してくれるようです。

やはり、難関試験を突破してようやくタクシードライバーになれるわけですから、相応のプライドを持って仕事に励んでいるのでしょう。

金で買えないプライドを誰もが保持して、それが乗客への対応にも反映しているのである

ロンドンタクシー調査報告より引用

このプロ意識が市民に尊敬される理由なんでしょうね。

接客態度が悪い日本のタクシー

誤解のないように最初にお伝えしておきますが、日本にも接客態度良い乗務員の方は多数おられます

ただ、態度の悪い乗務員も同じように多数いるのが実情なので、その人達について書いていきます。

実際にタクシーの利用者から聞いた話で一番多いのが、近距離だと文句を言われた(歩いて行って!など)という話ですね。ひどい場合には舌打ちする人もいるようです。

あとは、「タメ口、上から目線」や「行き先を告げても無言」などもあります。

これらは、接客態度が悪いのは明らかですし、それ以前に人に対しての礼儀やマナーができていません。

その他に私が聞いたことがあるのは、通常3000円程度で行ける距離を倍近くの値段で行かれたという悪質な遠回りもあります。これは、行きと帰りであまりにも値段が違うことから発覚したそうです。

さらに、たまに乗務員同士の会話を聞いていると、「海外の客やったから遠回りしたった」など耳を疑うようなケースもあります。

とても悲しいですが、こういった悪質な乗務員も少なからずいるのが日本のタクシーの現状です。

悪質な乗務員の運転するタクシーに乗ってしまうと、「良心的じゃない。怖い。タクシーに二度と乗りたくない。」といった負のイメージに繋がり、「人の気持ちを考えることのできない底辺な人間がやる仕事なんだ」という認識になってしまう可能性もあります。

運転マナーの良いロンドンタクシー

ロンドンタクシーの交通マナーについて調べていると、そもそもイギリス自体が交通マナーが良い国であることを知りました。

その経験談がこちらのすりーてぃーかっぷすさんのブログに詳しく書かれていたので参考にさせていただきました↓

https://3teacups.com/driving_manners/

イギリスの運転マナーの良さですが、例えば、

  • 高速の合流地点では必ず入れてくれる
  • 細くて1台しか通れないような狭路では譲れる側が率先して譲ってくれる

このようなことがあるようです。

また、譲り合った後は挙手かハザード等で必ず「ありがとう」のサインをしてくれるそうです。

日本の場合、譲ってあげてもハザードすら点けない人が本当に多いですからね。

一般車両がこれだけマナーの良い運転をしているのですから、プライドを持って仕事をしているロンドンタクシーはさらに交通マナーが良いことは想像に難しくありません。

運転マナーの悪い日本のタクシー

日本のタクシーの運転マナーについてですが、ハッキリ言って最悪だと思います。

例えば、

  • ウインカー無しで割り込んできてサンキューハザードも点けない
  • 乗客を捕まえる為に他車の迷惑を考えず左車線をなめるようにゆっくりと進む
  • 繁華街付近での二重駐車や違法な付け待ち
  • 混雑時に少しでも早く進むために左車線を走行し、詰まった所で車線変更して無理矢理割り込む
  • 車線変更しようとしたら幅寄せしてくる

このようなことがあります。

日本のタクシーが上記のような運転マナーになるのは、ただ単にドライバー自身のマナーの悪さもありますが、お客様に急がされているといった状況も多くあります。

ただ、一般ドライバーからすると全く関係のない話で、ただただ迷惑運転をしているなぁという印象のみが残ります。

このタクシーの運転マナーの悪さをみんな知っているので、一般車からタクシーは嫌われていますし、好き勝手に運転して交通ルールを乱すタクシードライバーは底辺がやる仕事だ、という認識になってしまっているのではないでしょうか。

もちろん、運転マナーの良いタクシー乗務員の方もいらっしゃいますが、良いことよりも悪いことの方が目立つのが世の中の常ですからね。

まとめ、人間性の問題

今回、日本のタクシーが底辺職である理由について、ロンドンタクシーと比較してみて分かったのは、「人間性の違い」です。

ロンドンタクシーは長期間勉強し、難関試験を突破してようやくなれる職業なので、乗っている乗務員自体も自尊心を高く持って仕事をしていると思われます。

ロンドンタクシーに限らず自尊心を持って仕事をしている人は、仕事に対する満足度も高く、幸せ度も高い為、人にも優しくすることができます。

だから、市民からも尊敬される。

反対に、距離によって利用客を選んだり、自分の為なら他車に迷惑をかけても気にしない、といった自分本位な仕事をしていると、自尊心が無くなり人に優しくできなくなるのだと思います。

実際、自分のことばかり考えている人で人に優しい人を見たことがありません。

まとめると、タクシー乗務員だから底辺なのではなく、道を知らない上に態度は横柄で運転マナーも自己中心的、この辺りのプロ意識の低さや醜い人間性に対して底辺と感じるのだと思います。

そして、タクシーは誰でも比較的簡単になれる職業として門出が広いので、そういった人間性の低い人が多く入ってきやすいのだと思います。

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ロンドンタクシーについてもっと知りたいという方は、こちらのロンドンタクシー調査報告書に詳しく載っています↓

http://www.jikosoren.jp/seisaku/pro/pro05.html

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